神式の葬儀

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ウチは代々神道でしたので、父の葬儀は神式で行いました。
苗字が神社に所縁の深いものなので、当然といえば当然なのですが…。

日本消費者協会のアンケート調査によると、葬儀の形式は全体の90%以上が仏式なのだそうで。
なんと、神式(1.4%)はキリスト教式(1.7%)よりも少ないという…。
思い出してみれば、私自身。今まで直系以外で神式の葬儀に出会ったことがありません。

そんなに珍しい神式の葬儀ですので、ざっくりどんなものなのかお話してみようと思います。

神道の葬儀は、神葬祭と呼ばれます。
まず、故人の魂に対する考え方が仏式とは大きく違います。

仏式の場合、故人の魂を極楽浄土へ送る儀式になりますが、神式の場合、故人の魂をその家に留めて守護神となってもらうために行うものです。
神道の基本として、八百万の神ということですので、家に付く神になるということなのですね。

また、前にもお話ししましたが、死を穢れとするために、聖域である神社では葬儀を行いません。

仏式との大きな違いの一つに、線香、香炉を使いません。お焼香はなしで、その代わりが玉串になります。
玉串とは、榊の枝に紙垂(しで=しめ縄によく付いている半紙の飾り)が付いたものになります。

余談ですが、神式のお墓にお線香やお花を手向けられる方がいますが、これはマナー違反になりますので、ご注意を。
神式は榊のみです。
他の家のお墓にお参りする際には、そのあたりも確認しておきましょう。

神式での一連の流れは、

1.帰幽奉告:神棚に故人の死を奉告します。

2.枕直しの儀:遺体に白装束を着せて北枕に寝かせ、祭壇を設けてお供えをします。

3.納棺の儀:遺体を納棺します。

4.通夜祭:一般に言うお通夜。

5.遷霊祭:霊璽(れいじ=仏式での位牌)に故人の魂を移す儀式。通夜祭と同時に行います。

6.葬場祭:告別式のこと。神葬祭最大の儀式。

7.火葬祭:火葬場で行う儀式。

8.埋葬祭:埋葬の際の儀式。従来は火葬祭の後すぐに行われましたが、最近は一度お骨を持ち帰ることが増えました。

9.帰家祭および直会:霊前に儀式が滞りなく行われたことを報告すること。直会はそのあとの宴会。

となります。

仏式に比べて、通夜祭の意味合いが強くなっています。
仏式のお通夜では、本来近親者のみで行われるものですが、神式では本祭さながらに儀式として行われます。

遷霊祭では、祭司様が祝詞を唱えながら、棺桶のふちを笏(しゃく=神主の持っている木の板。杓子)でコンコンと叩くのです。
これで、故人の魂を霊璽に移すのだそうです。その際には照明も落とし、暗い中で行われることもあって、非常に神秘的でした。

神道の家で人がなくなると、まず行うのが神棚を閉じることです。神棚封じといいます。
お社の扉を閉めて、白い半紙を神棚の前にかけます。
この状態は死後50日間続き、その間お供えもしません。

親族の家の神棚はどうなのかと思い、祭司様に聞いてみたところ、できれば親族の神棚も死後7日間はお社の扉を閉じて、お供えも控えるのが良いとのことです。半紙をかけることは必要ないそうです。
ただ、これはできれば、ということで絶対ではないとのこと。

通常仏式では、故人の遺体は納棺された状態で、自宅なり通夜会場へ運ばれますが、神式の場合、納棺は通夜祭の直前になり、自宅に戻ってくる際にはまだ棺桶には入っていない状態です。
布団に寝かされている故人を見ていると、ふと目を開けて起き上がるんじゃないかと思ってしまいます。
(父の場合、自宅に棺桶を運び込むのが難しかったので、どちらにしてもこの状態だったわけですが…。)

神道では通常死後50日をもって喪が明けるとされています。
それまで、十日祭、二十日祭…と10日ごとに祈祷を行います。で、五十日祭を行って喪明けとなります。

仏教では四十九日を一つの区切りとしているのと日数が近いのは面白いですね。

また、五十日祭が終わるまでは親族は神社への参拝や祈祷などを避けて、故人へのお祀りに専念します。

私も梅雨入りくらいまでの間、神社巡りはおあずけです。
大好きな大國魂神社にも行けないのはちょっと淋しい…。

遷霊祭や葬場祭では、列席者が玉串を奉納しますが、二礼二拍手一礼が基本で、拍手の際は音を立てないようにします。
(これを忍び手といいます)
玉串の扱い方にも作法がありますが、大抵式場の方で、奉奠(ほうてん)の仕方を書いた紙が予め配られますので、それに従えば大丈夫です。
私も一応、祭司様から事前にレクチャーを受けましたが、祭司様曰く、「多少間違っても大丈夫、要はお心です。」とのことでした。
(実際、本番では間違えそうになりました。汗)

それと、神道のお葬式に数珠を持って臨むのは控えましょう。神様は怒りませんが、はやりマナー違反です。

という感じで、仏式とは違う点も多々ありますが、基本的には故人を弔う心が一番大事になるのは神式も仏式も同じです。

葬儀の間、父はほとんど語りかけてきたりはしませんでした。
神妙に祝詞を聞いていたようです。

 

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