イギリスEU離脱

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この話題には触れずにはいられないでしょう。ちょっと報道も落ち着いてきたので書いてみます。
当初、残留派が優勢と聞いていたので、離脱派が勝利と聞いて正直驚きました。
驚いたのは顕在意識。「ふーーん」と割と冷静だったのが潜在意識。潜在意識的には「当然でしょ」的な感じです。

なぜに、イギリスはEU離脱に傾いたのか。調べてみると、国家的な理由もありますが、市民生活における状況がそうさせた部分も実は大きいようです。

大きな問題が移民問題。
EU加盟国間では人の行き来は基本自由です。当然パスポートもいらず、自国以外に住むことも自由です。
しかも住んだ先の国の社会保障も平等に受けられます。

イギリスでは、税金を一銭も払っていなくても医療費、教育費が無料。これはEUの他の国の人が住んでも同じ。通訳まで無料で付くのだそう。
しかも、ギリシャやブルガリア、ルーマニアなどでは平均月収が4~6万円のところ、イギリスは25万円。これは来ますよね。移民。
このため、病院ではERが4~7時間待ち(!)、学校はすし詰めにしても教室が足らず、しかも英語が不得手な生徒が増えて授業も進まない。
当然人が増えれば住居も必要。住居も不足し、ロンドンでは家賃が高騰して給料の半分以上が家賃になってしまうこともあるとか。

これらの政策の基礎財源はもちろん税金。イギリス国民が払った税金で移民を受け入れた結果、自分達の生活が圧迫されてしまう。
しかも、その財源も潤沢なわけではなく、対応しきれていない状況で、これ以上移民は受け入れられないと。
これはさすがにやりきれないですよね。

しかも、トルコがEUに加盟しようとしていることが離脱意識に拍車をかけているのだとか。
トルコはシリア難民を多く受け入れています。そのトルコがEUに参加した場合、そのシリア難民がイギリスに押し寄せることを心配しているのです。
今でさえ市民生活に大きな影響が出ているのに、そのうえ戦争難民を受け入れることになったら….。

離脱派の意見。至極もっともです。
遠く日本での報道の多くは、国家的なメリット・デメリットを報じることがほとんどで、正直なぜ離脱派はそんなにEUを離れたいのか今一ピンと来ていなかったのですが、こういった市民目線での情報が入ってきてやっと納得です。

EUは、元をただせばヨーロッパ全体の平和と経済発展のために生まれた同盟です。
ヨーロッパは陸続きの国が昔から戦争による覇権争いをしてきました。二つの世界大戦を経て、ヨーロッパ各国はなぜに戦争が起こるのかを話し合い、経済的、人的移動の規制をなくすことで、覇権争いが起きにくくなるだろうと考えたわけです。しかも、各国が一つの経済同盟としてまとまることで世界経済でのヨーロッパ全体の地位向上も図れると。これがEUは大きな社会実験と言われる由縁です。
まずは、経済同盟としてのEEC(欧州経済同盟)、EC(欧州諸共同体)を立ち上げて、地ならしをしたうえでより踏み込んだ共同体としてEUを立ち上げたのでした。

そういった、世界平和も視野に入れた非常に高尚な理念をもって作られた同盟であったEUですが、確かに経済的な効果はEU全体、世界経済に対してもマクロ経済的には非常に効果があったように思います。
しかしながらその裏で、それぞれの国の状況や政策、制度の違いによる歪みがあったことも事実です。
そして今回、イギリスでの歪みが国民の過半数で許容できなくなったわけです。

今回の離脱の真の理由を聞いて、考え込んでしまいました。
これは、所詮、人間のエゴではないのか?自分の生活が脅かされるから他国からの移民は排除する。
これじゃ、トランプ氏の言っていることと同じじゃないか?あれを評価できるのか?
いやいや、人は自分の幸福を願い、追うことは当然のことだし、自分の幸福があって人の幸福がある、ということも言えるし。
実際、本来教育や医療を受けられるべき子供たちが、それらを受けられない状況をあえて作り出してよいのか。

顕在意識においてはこうやって葛藤しますが、本来は離脱派の動きで正解なのだと思います。

基本的に魂としては、成長するためにこの世に来ます。その中で嬉しいこと、辛いこと全てが経験という成長の糧になります。
その魂が喜ぶことを、顕在意識は「自分の幸せ」というものを求めながら探してゆきます。しかしながらその行動はすべてが「自分の幸せ」につながるわけではありません。幸せを求めて行動した結果がつらい経験になることも多々あります。けれども、その経験はまた魂を成長させる糧になるはずなのです。

それを踏まえたうえで、イギリス国民の「自分の幸せ」の方向性の過半数がEU離脱に傾いていたということだ思うのです。
EU離脱によって国際経済的に不利な立場になり、それが国民生活に悪影響があるかもしれません(おそらく少なからずあるでしょう)。しかし、それは国民それぞれにとっての「経験」なのです。もちろん、残留によってより国民生活が圧迫される状況も「経験」と言えますが、どちらかといえば辛さが低い方を取った形になります。

「辛さ」を我慢して取る、というのは自己犠牲として賞賛される(特に日本では)ことではありますが、その根底には本当にその人がそうしたいのか、ということが重要だと思います。きまりだから、制度だから、と押し付けられ自分が望まず押し付けられた自己犠牲は幸せにはつながりません。
自身が納得してこそ意味があるのが自己犠牲だと思います。それすら全てが良いことであるとは限りません。

ちょっと俯瞰的に状況を観てみれば、これまでの20世紀的な秩序は崩れてゆく方向にあるのだともいえます。
アセンションが進む地球において、これまでのやり方はもはや見当違いになりつつあります。
短い文章で説明するのは難しいのですが、一言で乱暴にまとめてしまえば、個々に重きをおいた自主性の世界に進んでいくと思います。
こう言うと個人主義を推奨しているように思われますが、全く違います。
個々に重きを置くというのは、個々を(お互いを)尊重するという意味合いも含まれます。自分の幸福を追いつつ、他者の意思を汲みながらお互い幸福を目指すという、ある意味これまで理想論として言われてきたことです。
今まではそれは、それぞれのエゴがありとても難しいと言われてきましたが、これからはより魂に近い感覚でそれが成される方向にあるのだと思います。
そして、その集団である社会、国といった集団も、そういった方向性をもった「個」の集まりとして成り立ってゆくのだと思います。
これについては、現在の経済活動も含めて、また長い話になってしまうので別の機会とします。

ともかく、イギリスの今回取った道は、世界的にも大きなうねりとなるでしょうし、今一度個々のありかたと見つめなおさせるきっかけとなるはずです。
そういう意味でも、離脱は正解だったのだと思うのです。

 

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