日本の付加価値

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NHKで興味で興味深い番組をやっていました。
日本の町工場が、アメリカ シリコンバレーへその技術を売り込みに行っているというのです。

GoogleやAppleといったIT大手企業が、PCやプロセッサではない「モノ」創りに進みだしているとのこと。
そこで注目されているのが、日本の下町町工場の技術だというのです。
それに気がついた町工場側も、積極的に直接提案に行き始めているそうです。

それまでの下町町工場は、日本の家電や自動車といった大手メーカーの下請け、一次下請けであればまだいいほうで、下手をすれば二次、三次下請けという話もザラでした。
それでも、注文が多ければやっていけたのですが、今や大手メーカーの生産拠点は海外に移り、国内への注文が激減している状況です。

しかし、基本的に下町町工場には匠と言っていいほどの職人さんが居ます。
彼らの作り出すものは、おおよそ機械には真似できないものなのです。

特に得意なのは、開発段階の試作品創り。
設計者の要望を聞き入れ、無理難題に思えるような製品の基をその手で作り出していきます。
私も、かつてメーカーにいた経験があり、その協力工場(町工場)の試作品創りのスゴさをこの目で見てきました。
私がいたのはベルトメーカーだったのですが、その歯付ベルトを受ける歯車(プーリーといいます)の歯を削り出すのに、手で旋盤機械を操り、μ単位で仕上げてきます。それを使ってベルトの耐久試験を行いますが、その寸法ができるだけ中央値にないと、試験結果に大きく影響するのです。

そのため、直径10cmほどの鉄のプーリー1個がなんと3万円も4万円もするのです。
しかし、それは当然な話です。他では出来ないんですから。

番組では、医療関連の企業からの依頼の話もやっていました。分野はモノ創りであれば多岐に渡ります。
その際に、日本の町工場の一番の強みは何かというはなしで、「手」を介在させるモノ創りと言っていました。
つまり。職人さん、人間の卓越した感覚と柔軟性を合わせたモノ創りということです。

以前、このBlogでも日本は円高にならなければならない。なぜなら安いものを海外にばら撒くような時代はもうとっくに終わっている。
これから世界で日本が世界で勝負してゆくには、自国の通貨を強くして、その上で日本独自の付加価値を高値で売っていくしかない、と書きました。

奇しくも、まさにそのような状況になりつつあると思います。
現在、円は円高状態。でも株価は打撃を受けるというほど下落はしていない。
その状況の中、町工場が匠の技術という他にない付加価値をもって、海外に出て行きはじめている。

こういう感じでアセンションが進んでいくんだなぁ、と一方では感じました。
いずれ、貨幣至上主義は崩壊するでしょう。そのときに一番頼りになるのは、技術力、開発力、それを形にする能力です。

日本人は昔からこういった匠と呼ばれる技術を得意として伝承できる、世界でもあまりない民族です。
そこに日本の活きる道があるのです。

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